【美術館鑑賞レポート】オランダ・デン・ハーグ「マウリッツハイツ美術館」

 

アムステルダムでの半日観光を終えて、オランダ第3の都会、デン・ハーグにやってきた。

 

オランダの行政都市の中心として機能するデン・ハーグ。ヨーロッパ諸言語をもとにした地名には定冠詞(英語でいうaとかthe)付きのものが多く、こちらの「デン」もそのひとつ。他にもエルサルバドルの「エル」やロス・アンゼルスの「ロス」、ラス・ベガスの「ラス」など、名前だけでも歴史を感じられるから面白い。

 

 

デン・ハーグは都会ながら、主要な観光地は徒歩で回ることができる。ぼくの大学がある神戸に似た雰囲気があって、コンパクトながら小ぎれいな印象。自分としてはとても合う土地だった。

 

さて、ぼくがデン・ハーグを訪れた目的はただひとつ。同地にある「マウリッツハイツ美術館」を訪れるためだ。小規模ながらフェルメールの代表作品「真珠の耳飾りの少女」が鑑賞できるマウリッツハイツ美術館。とても素敵だったので、ぜひともレポートさせていただきたい。

 

「マウリッツハイツ美術館」鑑賞レポート

 

概要

1822年に王立美術館として開館した「マウリッツハイツ美術館」。ローマ古典建築にルーツをもつ美しい建物のなかに、フランドル絵画(15世紀から始まった、現ベルギーを中心に描かれた絵画)が立ち並ぶ。

 

ヨーロッパを旅するにあたりぼくが読んだこちらの本「西洋美術史入門」によると、フェルメールやレンブラントが活躍した17世紀のオランダ絵画は、西洋美術史におけるターニングポイントらしい。美術史の流れを変えた名画を拝められるとのことで、めちゃくちゃ楽しみにしていた。

料金

成人男性は15€だが、国際学生証が適応可能。12.5€で入館できた。スタッフの方がすごい丁寧な対応をしてくれて、とにかくワクワクした。

混み具合

 

 

美術館としては小規模で観光客もそれほどなので、おそらく並ぶことは無いと思われる。ぼくも昼過ぎに予約せずに訪れたけれど、難なく入館できた。

作品集

それでは、個人的に気になった作品を紹介していく。

 

 

アンブロシウス・ボスハールトという画家の作品「花瓶の花」。マウリッツハイツ美術館には、花を描いた作品が多い。これは「Dutch&Flemish(ダッチアンドフレミッシュ)」様式と呼ばれるもので、1600年から1800年にかけて、フランドル地方では多くの「花の静物画」が描かれたらしい。

 

その背景には、宗教改革などに揺れる、オランダの暗い時代を照らし出すためのインテリアとしての役割であったり、当時の園芸の発展がある。こちらの絵画には、当時は極めて高価であったチューリップも描かれているが、そうした珍しい植物を収集することは、当時のお金持ちにとっての一種のステータスだったわけだ。

 

 

レンブラント初期の作品「テュルプ博士の解剖学講義」。アムステルダムの外科医たちの肖像画という依頼を受けて、当時25歳だったレンブラントが描いた作品。17世紀の解剖学講義は、いわば一種の社交イベント。劇場などを借り切って開催し、民衆たちが入場料を払ってまで参加していたというから驚きよね。

 

 

レンブラントは、とりわけ多くの自画像を残した画家としても知られている。自画像ひとつとっても「光の画家」としてのレンブラントのスタイルがなんとなくわかってしまうからすごい。

 

 

アドリアーン・コールテという画家の作品「5つのアンズのある静物」「野イチゴのある静物画」。オランダ西南部の都市であるミデルブルフに住んでいたということくらいしか情報がない、ミステリアスな画家、コールテ。特に、2枚目の野イチゴのサイズが小さくて印象的だった。20世紀後半に人気を誇ったらしいが、このミニマムな感じがいいのかな。よく分かりません。

 

 

「この親にしてこの子あり」ということわざを体現した、ヤン・ステーンという画家の作品。左側の谷間丸出しの女性はグラスに酒をつがせ、右側の父親は、笑いながら子供にパイプの吸わせ方を教えている。日本でいう「子は親の背を見て育つ」という格言をユーモラスに表現した作品です。わたくしも肝に銘じましたとさ。

 

 

はい、いよいよフェルメールですよ。彼が2枚しか描かなかった2枚の風景画のうちのひとつ「デルフトの眺望」。ちなみに、彼が生涯のほとんどをすごしたデルフトは、ハーグからも自転車で行けるそう。この後の「真珠の耳飾りの少女」といい、青色の発色具合がものすごいんですよ、フェルメールの画って。めちゃくちゃ心奪われた作品です。

 

 

ラストはやっぱりこちら。フェルメール「真珠の耳飾りの少女」。こちらの作品、じつはいわゆる「肖像画」の類ではなく「トロ―二―」と呼ばれる、想像上の人物の顔を描くという技法にあたります。よくよく考えたら、こんなに大きな真珠もなかなかないもんな。東洋風のターバン、衣服の感じをみても、トロ―二―による仮想の人物を描いたことは納得できるかと。

 

最後の部屋にあるこちらの絵画。今思うとものすごく興奮していた。こちらと「デルフトの眺望」があまりにも美しいものだから、2巡してもう一回見て、帰り際にもう一回見た。4回見ても別れるのが名残惜しい、思い出の作品になりました。

 

まとめ

 

 

というわけで、オランダ、デン・ハーグにある「マウリッツハイツ美術館」の鑑賞レポートでした。やっぱり、少しでも作品について知ってから行くと美術館は楽しい。そうした思いから、気になった作品については自分の勉強も兼ねて、解説を記している。

 

今回の「マウリッツハイツ美術館」は、ほんとうに胸を張っておすすめできるので、オランダを訪れる際はぜひに、立ち寄ってみていただきたい。

 

感謝